先日、大学で講義をさせていただきました。

講義後、一人の学生から個人的にメールをいただきました。

講義の内容についてもっと話を聞きたいという内容でした。

大学では専門知識や技術を学ぶ機会は数多くあります。しかし、その学生が興味を持ってくれたのは、知識や資格ではなく、「社会でどう生きていけばいいのか」「仕事で必要とされる人とはどんな人なのか」という、教科書には載っていない部分だったのではないかと思います。

私はこれまで経営者として、多くの企業や働く方々、そして外国人材の支援に携わってきました。その中で、数え切れないほどの成功や失敗、人との出会いを経験してきました。

だからこそ、自信を持って言えることがあります。

社会で最後まで必要とされる人は、一番頭が良い人でも、一番才能がある人でもありません。

「この人と一緒に働きたい」と思われる人です。

では、そのような人にはどんな共通点があるのでしょうか。

まず、自分の常識を押し付けないことです。

私はいつも、「自分の常識は、他人の非常識かもしれない」という気持ちを大切にしています。

育った環境も価値観も違うからこそ、自分が正しいと思い込まず、相手の立場に立って考えることが信頼につながります。

次に、「やったことがないからやらない」ではなく、「まずやってみる」ことです。

実は私自身、若い頃は「素直」とは、自分の言いたいことを我慢せずに言うことだと思っていました。

しかし、社会に出て上司から教えられた「素直」は違いました。

「まずは言われたことをやってみろ。」

その言葉の意味が分かったのは、何年も経ってからです。

経験もしていないのに、「自分には合わない」「意味がない」と決めつけてしまえば、成長の機会を自分で失ってしまいます。

素直さとは、何でも言いなりになることではありません。

一度受け止め、まずは実践してみること。

その上で、自分に合うかどうかを考えればいいのです。

仕事では、報告・連絡・相談も欠かせません。

「これくらいなら言わなくても大丈夫。」

そう思った時ほど、相手に伝えることが信頼につながります。

細かいくらいでちょうど良いのです。

そして、人とのつながりを大切にすること。

親しき仲にも礼儀あり。

何かをしてもらったら、「ありがとう」と感謝を伝え、自分にできる形で返していく。

自分だけが得をしていればいいという考え方では、人は少しずつ離れていきます。

私たちは一人で生きてきたわけではありません。

家族、友人、先生、先輩、仲間、お客様、多くの人に支えられて今の自分があります。

だからこそ、人との関わりを軽く考えてはいけないのです。

私はもう一つ大切にしていることがあります。

それは、「自分自身を他人のように見ること」。

感情だけで判断するのではなく、一歩引いて、

「もし自分が相手だったらどう感じるだろう。」

「第三者ならどう見るだろう。」

そう考えることで、見えなかったことが見えてきます。

さらに、良いと思ったことは素直に真似ることです。

できる人の良いところを取り入れ、そこに自分らしさを加えていく。

それが、自分だけの強みになっていきます。

そして最後に、一生学び続けること。

時代は変わり、人も社会も変化し続けています。

学ぶことを止めた瞬間から、人は少しずつ成長を止めてしまいます。

年齢は関係ありません。

人生が終わるその日まで学び続ける姿勢こそ、自分自身を成長させ続ける原動力です。

私は、社会で本当に生き残る人とは、能力だけが高い人ではなく、人を思いやり、信頼を積み重ね、学び続け、行動し続ける人だと考えています。

知識や資格は努力すれば身につきます。

しかし、人としての信用は、毎日の小さな行動の積み重ねでしか得ることはできません。

今回メールをくれた学生が、この講義をきっかけに何か一つでも行動を変え、自分らしい人生を歩んでくれたら、講師としてこれほど嬉しいことはありません。

そして、この記事を読んでくださった皆さんにも、ぜひ一度考えていただきたいと思います。

「自分は、誰かから『この人と一緒に働きたい』と思ってもらえる人だろうか。」

その問いを持ち続けることが、仕事でも人生でも成長し続ける第一歩になると、私は信じています。