今日は、少し複雑な気持ちで外国人材の生活支援をしてきました。

今回支援したのは、日本で働いていたベトナム人の方です。

本人から「アメリカのVISAが取得できたため、退職してベトナムへ帰国する」と連絡がありました。

今日はその最後の生活支援。

市役所でベトナムへの転出届を提出し、銀行口座を解約し、ゆうちょ銀行の口座も解約しました。


日本での生活を一つひとつ終わらせていきます。

もちろん、アメリカへ行くこと自体を悪いことだとは思っていません。

むしろ、アメリカで生活し、働くことができるVISAを取得できたのであれば、それは本人にとって大きなチャンスです。

もし僕自身が「アメリカで合法的に暮らして働ける」というVISAを突然取得できたら……。

正直、僕もアメリカへ行くことを考えると思います。

今の日本の経済状況を考えれば、より大きな可能性を求めて海外へ行くという選択も、決しておかしなことではありません。

だから、アメリカへ行く本人を責めたいわけではありません。

ただ、どうしても心に引っかかるものがあります。

「日本でずっと働きたい」と言っていたから、企業も採用した

この方は、採用時に「日本で長く働きたい」と話していました。

その言葉を企業が信じたからこそ、採用が決まりました。

企業は外国人材を採用するために、約40万円近い費用を負担しています。

在留資格の手続き。

採用にかかる時間。

仕事を教える時間。

日本で生活できるようにするための準備。

そして、実際に働き始めてからも、会社の人たちは仕事だけではなく、生活面でもいろいろと支えてきました。

それなのに、結果として日本で働いた期間は10ヶ月。

もちろん、法律や契約上、一定の期間を守れば退職できることは理解しています。

本人からは「雇用契約書には1ヶ月前に退職を伝えればよいと書いてある」とも言われました。

確かに、契約上の手続きとしてはそうなのかもしれません。

でも、僕が今回考えてしまったのは、そこだけではありませんでした。

「辞められる」と「どう辞めるか」は別の話

僕は、法律や契約を無視してまで会社に残れと言いたいわけではありません。

人生ですから、予定外の出来事もあります。

今回のアメリカのVISAだって、本人が「こんなに早く取得できるとは思っていなかった」と言っています。

それなら、仕方がない部分もあります。

ただ、日本には昔から「義理と人情」という言葉があります。

自分を雇ってくれた会社。

自分のためにお金を使ってくれた会社。

仕事を教えてくれた人。

生活を支えてくれた人。

そういう人たちの気持ちを考えて、

「できるだけ迷惑をかけないようにしよう」

「できる限り恩を返してから次へ進もう」

と考えることも、働くということの一部なのではないかと思っています。

「1ヶ月前に言えば辞められる」。

確かにそうかもしれません。

でも、

「辞められるから辞める」だけでいいのだろうか。

僕は今回、そんなことを考えました。

外国人材の採用は「人を紹介して終わり」ではない

僕は登録支援機関として、外国人材の生活支援をしています。

外国人材を企業へ紹介して終わりではありません。

日本に来る前から、在留資格、住居、生活、行政手続き、日本でのルールなど、さまざまなことに関わります。

そして、今回のように日本を離れるときも支援します。

転出届を出す。

銀行口座を解約する。

生活を整理する。

最後まで日本での生活を終えられるようにサポートする。

だからこそ、外国人材を「労働力」としてだけ見たくありません。

一人の人間として、日本で働き、日本で生活し、そしていつか日本を離れていく。

その人生の一部分に関わっていると思っています。

だから、企業にも外国人材にも、できるだけ幸せになってほしい。

それが僕の仕事に対する基本的な考え方です。

外国人材にも、企業にも「覚悟」が必要だと思う

今回の出来事を経験して、改めて思いました。

外国人材を採用する企業にも覚悟が必要です。

そして、外国人材として日本で働く本人にも覚悟が必要です。

企業は、人を採用するためにお金と時間を使います。

外国人本人も、人生をかけて日本へ来ています。

だからこそ、

「採用したから働いてもらう」

「仕事が嫌になったから辞める」

という単純な関係ではなく、

お互いに約束したことを大切にする関係

をつくっていく必要があるのだと思います。

もちろん、人の人生を縛ることはできません。

より良い人生を求めて転職することも、帰国することも、海外へ行くことも自由です。

僕自身も、もしアメリカで暮らせるチャンスが来たら、きっと悩むでしょう。

だからこそ、今回のことを「外国人だから」と片付けるつもりもありません。

日本人でも同じことは起こります。

これは、外国人材だけの問題ではなく、

「人と人との約束をどう考えるのか」

という問題だと思っています。

それでも、最後まで生活支援をする

正直に言えば、

「10ヶ月で辞めるのか……」

と思いました。

「企業は約40万円もかけて採用したのに……」

とも思いました。

「日本でずっと働きたいと言っていたのに……」

という気持ちもあります。

少し厳しい言い方をすれば、

「もう少し義理と人情があってもいいんじゃないか」

と思ってしまいました。

でも、それでも僕は最後まで支援します。

今回も、転出届を出し、銀行口座を解約し、日本での生活を一つひとつ整理しました。

それが、僕の仕事だからです。

そして、最後には本人がアメリカで新しい人生をスタートできることを願っています。

日本で働いた10ヶ月が、本人にとって無駄だったとは思いません。

日本で働いた経験。

日本で暮らした経験。

日本人と一緒に働いた経験。

そして、日本で出会った人たち。

それらすべてを、これからの人生に活かしてほしいと思います。

「人材」ではなく「人」と向き合う

外国人材の採用や特定技能制度については、制度や在留資格の話が中心になりがちです。

しかし、本当に大切なのは、その先にいる「人」だと僕は考えています。

企業にとっても、外国人本人にとっても、採用や就職は人生に関わる大きな出来事です。

だからこそ、僕はこれからも、

「人を紹介して終わり」ではなく、「人が日本で働き、暮らし、成長していくところまで支える」

という仕事を続けていきたいと思っています。

今回の出来事は、正直、少し寂しかった。

でも同時に、外国人材の採用とは何なのか、生活支援とは何なのか、企業と外国人本人の信頼関係とは何なのかを、改めて考えるきっかけになりました。

アメリカでの新しい人生が、本人にとって素晴らしいものになることを願っています。

そして僕はこれからも、日本で働く外国人材と、その人たちを受け入れる企業の双方にとって、必要とされる支援を続けていきます。

外国人材は「人手不足を埋めるための人」ではない。

一人ひとりに人生があり、企業にも人の想いがある。

その両方を大切にすることが、これからの外国人材支援には必要なのだと思います。