先日、弊社が生活支援を行っているベトナム人の方が、財布を紛失するという出来事がありました。

財布の中には、在留カードや銀行関係のカードなど、大切なものが入っていました。

本人は警察署へ行き、紛失届を提出。その後も状況を確認しながら、財布が見つかるのを待つことになりました。

幸いにも、今回は勤務先の現場にある喫煙所で財布が見つかり、中身もすべて無事でした。

本当に良かったと思います。

しかし、もし財布が見つからなかったら、どれだけ多くの手続きが必要になっていたでしょうか。

警察への紛失届の控えなどを準備し、出入国在留管理局で在留カードの再交付手続き、銀行カードの再発行、クレジットカードがあれば利用停止や再発行の手続きなど、本人にとっても大きな負担になります。

今回は運良く見つかりましたが、必ずしもそうなるとは限りません。

財布を拾って警察に届けてくださる方もいますが、中身まで無事に戻ってくるとは限りません。私の警察官の友人からも、財布が見つかったものの、中身を抜かれてゴミとして捨てられていたという話を聞いたことがあります。

だからこそ、今回は本当に運が良かったと思っています。

改めて感じた、報告・連絡・相談の大切さ

今回、本人が状況について細かく連絡をしてくれたことは、とても良かったと思います。

そのおかげで、私から勤務先の社長にも状況を伝えることができ、関係者が情報を共有しながら対応することができました。

もし本人からの連絡がなければ、状況を把握することも、適切な対応を考えることも難しかったでしょう。

問題が起きたとき、隠したり、一人で何とかしようとしたりするのではなく、早めに報告・連絡・相談をする。

これは日本で生活するうえでも、仕事をするうえでも非常に大切なことです。

「次から気をつけます」だけでは、同じ失敗は防げない

今回、もう一つ本人に考えてもらったことがあります。

実は、今回が初めての財布の紛失ではなかったようです。

本人は、きっと今回も出てくるだろうと思っていた部分があったのかもしれません。

しかし、見つかったのはあくまでも幸運だったからです。

そこで、私は本人に、自分は財布を落としやすい人なのだということを、まず自覚してもらいました。

人にはそれぞれ、忘れ物をしやすい、物をなくしやすいなど、自分では気づきにくい傾向があります。

大切なのは、それを自覚したうえで、どうすれば同じことを繰り返さずに済むのかを考えることです。

本人には、座った場所を離れる際には、必ず最初に財布があるか確認してから移動するように伝えました。

本人も、これからは座った場所を離れる前に、まず財布を確認するようにすると話していました。

もちろん、それだけで絶対に紛失を防げるわけではありません。

しかし、「今度から気をつけます」と口で言うだけではなく、自分の行動のどこを変えるのか、具体的な対策を決めて実行することが重要です。

反省とは、ただ謝ることではありません。

同じ失敗を繰り返さないために、自分の行動を変えることだと思います。

仕事も、人との約束も同じです

これは、仕事でもまったく同じことが言えます。

商談の場では、

「やります」
「その方が良いですよね」
「私にできます」

と前向きな返事をしていても、実際にその状況になると、

「今は忙しいです」
「そんなことを言いましたか?」

という対応をする人がいます。

一度や二度なら、行き違いや事情があったのかもしれません。

しかし、それが何度も続けば、相手からの信用は少しずつ失われていきます。

人と人との関係は、口で何を言ったかだけで築かれるものではありません。

約束したことを実行する。
難しくなったら、事前に相談する。
問題が起きたら、隠さずに報告する。
失敗したら、原因を考えて次に生かす。

こうした一つひとつの積み重ねが、信頼関係をつくっていくのだと思います。

私たちの役割は、何でも代わりにやってあげることではない

私たちは登録支援機関として、外国人の方々が日本で安心して生活し、働いていけるように日々支援しています。

困ったときには相談に乗り、必要な手続きや対応を一緒に考えます。

しかし、私たちが何でも代わりにやってあげることが、本当の意味での支援だとは考えていません。

大切なのは、本人が自分で考え、判断し、行動できるようになることです。

今回の財布の紛失も、私たちが見つけるために動いて終わりではありません。

なぜなくしたのか。
どうすれば防げるのか。
次から具体的に何を変えるのか。

そこまで本人に考えてもらい、実際の行動につなげてもらうことが大切です。

失敗を責めるだけでは、人はなかなか成長しません。

一方で、失敗を何でも周囲が解決してしまえば、本人が考える機会も失われてしまいます。

支えることと、自立を促すこと。

その両方が、私たちの考える生活支援です。

失敗したことより、その後の行動が大切

人間ですから、誰でも失敗します。

財布をなくすこともあれば、仕事でミスをすることもあります。

起きてしまったことをなかったことにはできません。

だからこそ、その先を考えて行動することが大切です。

今回の出来事を、単に「財布が見つかって良かったね」で終わらせてはいけないと思っています。

本人には、今回の経験をしっかり振り返り、今後どうすれば同じことを防げるのかを考え、実行してほしいと思います。

そして、私たち支援する側も、こうした日常の出来事から、外国人の方々が日本で安心して生活し、自立していくために何が必要なのかを考え続けていきたいと思います。

最後になりますが、今回は財布を見つけてくださった方、対応してくださった警察官の皆様、本当にありがとうございました。

中身もすべて無事に戻ってきて、本当に良かったです。

いつも関係者の皆様には、私共々ご心配やご迷惑をおかけして申し訳ありません。

これからも、一つひとつの経験を成長につなげていきたいと思います。

信用は、言葉ではなく行動の積み重ねで築かれる。

そして、失敗は反省するだけで終わらせず、次の行動を変えるきっかけにする。

今回、改めてそう感じた出来事でした。


もう冬ですね。皆様ご自愛ください。