生活支援の現場では、
問題が起きた際に「事実を説明すれば解決する」と考えてしまいがちです。
しかし実際には、
事実を理解していても、それを認めない選択をする人がいます。
それは人種や国籍の違いだけではなく、
責任をどう受け止めるかという、その人自身の対人特性によって起きる
「すれ違い構造」です。
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■ 実際に起きる“すれ違い”の具体例
【例①】支援者側の認識
• 明確なルール違反がある
• 事実関係は整理できている
• 非を認め、謝罪・改善すれば収まる
【例①】本人側の反応
• 自分の非には触れない
• 相手の言動の欠点を探し始める
• 「でも相手も〇〇だった」と論点をずらす
👉 自分の行為ではなく、相手の欠点に焦点を移す
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【例②】支援者側の説明
「この行動が原因でトラブルが起きています」
【例②】本人の返答
• 「相手の言い方が悪い」
• 「先に相手が〇〇した」
• 「私だけが悪いわけではない」
👉 責任の所在を曖昧にすることで、その場をやり過ごそうとする
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【例③】支援者側の期待
• 非がある部分だけ認める
• 必要な謝罪や修正を行う
• 次に進む
【例③】本人側の行動
• 自分の非は認めない
• 相手の落ち度を強調する
• 話し合いを長引かせる
• 最終的に距離を取る・無かったことにする
👉 「認めない」「謝らない」ことで逃げ切ろうとする
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■ この構造は外国人に限った話ではない
私はこのすれ違いを、
外国人支援の現場だけでなく、
• 日本人の知人女性
• かつての父親との関係
の中でも、同じように経験してきました。
共通していたのは、
• 自分が悪い部分には触れない
• 相手の欠点を見つけて正当化する
• 結果として問題の本質から逃げる
という姿勢です。
これは「悪意」や「性格の問題」というより、
責任を引き受けることへの強い恐れだと感じています。
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■ 生活支援では「正しさ」だけでは解決できない
私的な関係であれば、
「合わないから離れる」という選択ができます。
しかし生活支援では、
• 住居
• 就労
• 在留資格
が関係するため、簡単に距離を取ることができません。
だからこそ支援者には、
• 誰が悪いかを争わない
• 感情や評価に踏み込まない
• 行動とルールだけを扱う
• 結果と次の対応を明確にする
という現実的な対処が求められます。
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■ 支援とは「責任を取らせること」ではない
生活支援とは、
相手に納得してもらうことでも、
反省させることでもありません。
問題を拡大させないこと。
生活が破綻しないように整えること。
そして支援者自身が壊れないこと。
人は分かっていても、
自分が不利になることからは逃げようとします。
その前提に立った上で関わることこそが、
生活支援の現場では必要だと感じています。








