人は悩むと、つい「自分だけで決めてしまう」ことがあります。
しかしその判断が他者の選択肢を閉じてしまうと、周囲は「その選択をしたあなたが悪い」「直せないなら仕事は任せられない」と受け取らざるを得なくなります。結果的に、本人も周りも不幸になる──それが繰り返されているのです。

実例をふたつ挙げます。
一つは、あるベトナム人の若者のケースです。新しい職場が決まったことを支援機関に報告せず、まず在留期間の確保を優先して特定技能1号に更新してしまいました。のちに特定活動へ切り替えるなど短期間に手続きが重なり、本人も機関も入管も混乱しました。
もう一つは、職場の日本人が「自分でこう決めた」と相談なく行動したため、周囲が対応を迫られ、結果的に私が責任を問われる立場になったことです。相談があれば別の選択肢を用意できたのに——そう感じる場面でした。

どちらも国籍や文化は違えど、共通するのは「相談がなかったこと」。
相談がないと、選択肢は閉ざされ、関係者は迅速に対応する余地を失い、最終的に決断した本人が責められる構図が生まれてしまいます。これは教養や経験の差だけでは説明できません。多くは「不安」や「責任を負いたくない」心理から来るものです。

だからこそ、お願いしたいのです。
「自分はこう考えているけれど、どう思いますか?」と一言ください。相談は決して依存ではなく、可能性を広げる行為です。あなたがその一歩を踏み出すことで、私たちは一緒に選択肢を広げ、より良い道を描けます。
決断の責任は分け合える。相談はあなたを守るための力です。

まずは気軽に話してみてください。小さな一言が、大きな違いを作ります。