あるサッカークラブに通う保護者の方から、こんな話を聞きました。
お子さんが怪我でドクターストップとなり、医師からは「無理に動かすと手術になる可能性がある」と言われていたそうです。
それでもクラブ側は、「休部制度はない」「なるべく練習に出て何かしらやってほしい」と伝えてきたといいます。
一見「ルールだから」という言葉で片付けられがちですが、
その“ルール”自体がどこにも明文化されていなかった。
つまり、規約でも契約でもなく、運営者の一存で決められた内ルールだったのです。
本来、クラブ運営におけるルールや会費の扱いは、
きちんと規約や契約書に明示して、誰でも確認できる形にするべきもの。
そうでなければ、保護者も選手も「納得したうえで参加する」という前提が成り立ちません。
ドクターストップが出ている中で練習を強要すれば、
それは安全配慮義務の欠如であり、万一事故が起きれば責任問題にもなります。
それでもなお、「ルールだから」「前例がないから」と押し通すのは、
クラブ側の都合でしかありません。
スポーツは、子どもの心と体を育てる場所であるはずです。
それなのに、上の立場から押さえつける文化が残っているせいで、
子どもたちは“自分の意見を言わないこと”を学び、
大人になってからも自分を表現できなくなってしまう。
クラブ運営者こそ、子どもの成長に寄り添う姿勢を持つべきです。
「ルールを守らせる」ことが目的ではなく、
「安心して成長できる場を守る」ことこそ、本来の責任ではないでしょうか。